1段目左から:吉沢悠 美波 堀部圭亮 吹越満
2段目左から:粟野史浩 土井ケイト 草村礼子 白井晃
華氏451度――この温度で書物は燃える――。
徹底した思想管理体制のもと、書物を読むことが禁じられ、情報は全てテレビやラジオによる画像や音声などの感覚的なものばかりで溢れている近未来。そこでは本の所持が禁止されており、発見された場合はただちに「ファイアマン」と呼ばれる機関が出動して焼却し、所有者は逮捕されることになっていた。そのファイアマンの一人であるモンターグは、当初は模範的な隊員だったが、ある日クラリスという女性と知り合い、彼女との交友を通じて、それまでの自分の所業に疑問を感じ始める。モンターグは仕事の現場から隠れて持ち出した数々の本を読み始め、社会への疑問が高まっていく。そして、彼は追われる身となっていく・・・。
アメリカSF界きっての抒情詩人、レイ・ブラッドベリが現代社会を鋭く風刺し、現代まで世界中で読み継がれるSF小説の金字塔の舞台化が、白井晃と長塚圭史のタッグにより遂に実現!
出演者のコメントが届きました!
●吉沢悠さん
「華氏451度」はレイ・ブラッドベリが何十年も前に書いた作品ですが、ずっと色褪せない力を持つ作品であり、長塚さんの台本を白井さんが演出したことによって、また一段と現代だからこそ意味があるものになったのではと思います。白井さんは、司令官としてご自身で行きたい方向というのを持ちつつも、けっして決めつけず、皆の意見を肉付けしながら、妥協せず美しい世界を作っていく方です。この作品は、今悩んでいることがあったり、考えすぎてしまっている人こそ「何だろうこれは!」と何か身近に感じてもらえる作品なのではないかと思うのですが、それは劇場でないと伝わらないものなので、ぜひ体験してほしいですね。
●美波さん
同じチームで長い間稽古をしてきたので、今日はそれを始めてお客さんの前で演じられて、改めてこの舞台空間に立てることにとても感動しました。お客さんの前で演じる中で、昨日までわからなかった新しい発見もあって、舞台はそこがすごく面白いと思います。この作品は、「不滅」がテーマだと思っていて、本も演劇も無くなりはしないもの。だけどわざわざ出かけて行って観る、という時間と場所が制限されることだからこそ、限りある人生の中で一緒にひとつの空間を共有できる素晴らしさを伝えられれば、と思います。もしこの作品に興味を持っている方がいたら、難しいことを考えずにまず、ぜひ体感していただきたいです。
●吹越満さん
この作品は、SF作品として原作はもともと書かれていますけれども、現代の状況にすごくヒットしている物語だと思うんです。舞台としては、歌ったり踊ったりと言うエンターテイメントの作りではないですけれど、今のお話としてある種のエンターテイメントになっているので、ぜひ楽しみにいらしていただきたいですね、舞台もとても綺麗ですので。白井さんは、稽古の最初から思ってましたけれども、やっぱり良い意味でしつこいです(笑)。初日が開けましたがまたここからクリエーションが続くんだろうなと思って覚悟はしています。舞台はやっぱり生ものなのが醍醐味ですので、日々変わっていくのが面白いですよ。ぜひ劇場にいらしてください、お待ちしています!