記事の掲載日: 2025年11月2日
若手音楽家育成事業
プラットワンコインコンサート 鈴木ぴあ乃「音のふるさと」
出演 フルート 鈴木ぴあ乃(すずきぴあの) ピアノ 金澤みなつ(かなざわみなつ)
日時 2025年11月5日(水) 14:00開演
会場 穂の国とよはし芸術劇場プラット アートスペース
【プログラム(全6曲)】
1 - ショパン作曲「ノクターン Op.9-2」
「ピアノの詩人」と呼ばれるポーランド出身の作曲家、ショパンにより、1831年に作曲された。ノクターンとは、ラテン語の「nocturnus(夜の)」を語源とする『夜想曲』である。本作は、ショパンのパリでの活動を支援した友人であり、ピアノ製作会社プレイエルの社長、カミーユ・プレイエルの妻マリーへ献呈された。マリーは、同時期に「幻想交響曲」で標題音楽を始めたとして有名なベルリオーズの元婚約者でもある。全21曲あるノクターンの中で最も広く知られており、様々な楽器への編曲も盛んに行われている。
2 - C.シャミナード作曲「コンチェルティーノ」
パリの裕福な家庭に生まれ、幼少期からピアノと作曲を始めたシャミナードは、8歳の頃に自作曲を披露し、その才能は『カルメン』の作曲者であるビゼーにも注目されていた。父親は音楽家への道に反対しており、音楽院入学を拒絶したが、ビゼーの計らいにより、学生同様のレッスンを受けることが出来た。その結果、出版活動と演奏活動によって、経済的に自立した最初の女性作曲家と言われている。シャミナードの作品は、美しく親しみやすい旋律が特徴で、サロンミュージックとして人気があった。1902年のパリ音楽院の卒業試験課題として作曲されたコンチェルティーノは、一楽章形式でありながらフルートの華やかさを存分に発揮しており、フルートの主要なレパートリーのひとつである。
3 - F.プーランク作曲「ソナタ」
プーランクは、20世紀前半フランスで活躍した作曲家の集団「フランス6人組」の1人である。本作は彼の代表作である。ドビュッシーの晩年のソナタを意識しており、フランス音楽の伝統が反映されている。さらに、20世紀で最も偉大とされるフルーティスト、ジャン=ピエール・ランパルのアドバイスを受け作曲されたため、細部までフルートの特徴が活かされている。第1楽章アレグロ・マリンコニーコは、短調と長調が複雑に入れ替わり、独特な雰囲気を持つ。第2楽章カンティレーナは、美しくも哀愁漂う旋律が歌われ、最高傑作と言われる楽章である。第3楽章プレスト・ジオコーソでは一転し、陽気で明快なリズムが印象的である。初演から現在に至るまで、奏者、聴衆ともに愛され続けている作品である。
4 - G.フォーレ作曲「シシリエンヌ」
フォーレはフランス近代を代表する作曲家であり、長くパリのマドレーヌ寺院でオルガニストを務め、後にパリ音楽院院長として後進の育成にも大きな影響を与えた。本作は1892年、モリエールの喜劇『町人貴族』の付随音楽として作曲されたが、劇場の破産により初演されないまま、1898年にチェロとピアノ用の小品として書き直された。同年には交響組曲『ペレアスとメリザンド』の一曲としても用いられた。このように複数の形で用いられていることから、フォーレ自身が特に愛着を持っていた作品であることが伺える。フルート版への編曲は、当時の名フルート奏者アンリ・ビュッセルによるものである。優雅な旋律と繊細な色彩感が魅力であり、小品ながらも独特の存在感を放つ作品である。
5 - C.シャミナード作曲「秋」
ピアニストでもあったシャミナードの手掛けた、ピアノ曲集「6つの演奏会用練習曲」Op.35の第2番《秋》。演奏会用と言うだけあり、指の技術的訓練に留まらず、音楽的内容が盛り込まれた練習曲集である。シャミナードらしい非常にメロディアスな作品であり、情緒的でドラマ性のある展開が印象的である。穏やかな秋の情景が感じられる冒頭に反して、吹き荒れる風のような劇的な中間部が訪れる。終結部では再び静けさが戻り、内省的な余韻を残す。これは、秋の深まりと共に移ろう感情の描写とも取ることができ、構成上の明確なコントラストが作品の魅力を際立たせている。
6 - T.ベーム作曲「グランドポロネーズ」
テオバルト・ベームはドイツのフルーティスト、作曲家、そして楽器改革者であり、現在のフルートの基礎となる「ベーム式フルート」の開発者として知られる。音量・音程・操作性を飛躍的に向上させる革新を推し進め、近代フルート音楽の発展に決定的な影響を与えた人物である。本作は1849年に作曲され、華麗な技巧と華やかな旋律を特色とする。ポロネーズはポーランド起源の舞曲であり、威厳ある三拍子のリズムに基づく堂々とした性格を有する。全体を通して、改革された楽器の可能性や魅力を最大限に引き出した作品であり、19世紀フルート音楽を象徴するレパートリーである。
出演アーティストに10の質問
1. フルートのどんなところが好き?
息遣いがそのまま音にのるところ。
出演者プロフィール
鈴木ぴあ乃(フルート)
2002年生まれ、豊橋市出身。3歳よりピアノ、13歳よりフルートを始める。豊橋市立南陽中学校、聖カタリナ学園光ヶ丘女子高等学校を経て、洗足学園音楽大学管楽器コースを卒業。同大学卒業演奏会出演。第51回フルート新人演奏会にて優秀賞を受賞。大学より推薦を受け、2025ヤマハ管楽器新人演奏会第29回木管部門、第52回フルートデビューリサイタルに出演。スタークラシックスアカデミア6期生。フルートを前田綾子、大西圭子の両氏に師事。
金澤みなつ(ピアノ)
愛知県立芸術大学音楽学部卒業、同大学大学院博士前期課程を首席で修了。
YBP 国際コンクール総合第1位、第11回大阪国際音楽コンクールAge-G第1位。ムーランダンテ音楽祭(フランス)にてディプロム取得。名古屋、パリ、ウィーンにてリサイタルを行う。2017年、2019年カーネギーホールにてガラコンサートに出演。NHK-FMリサイタル・パッシオに多数出演。
大阪国際音楽コンクール、名古屋トロンボーンコンペティション公式伴奏者。国内外でソロリサイタルを開催、また室内楽奏者としても多くの演奏家と共演している。
スタッフ
穂の国とよはし芸術劇場
舞台 片桐健(かたぎりけん)
音響 佐原宏信(さはらひろのぶ)
照明 池田俊晴(いけだとしはる)
制作 石田晶子(いしだあきこ) 長坂奈保美(ながさかなほみ)高田装子(たかだしょうこ)加賀茅捺(かがちなつ)票券 上栗陽子(かみくりようこ)
クレジット
主催 公益財団法人豊橋文化振興財団
企画制作 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
公益財団法人日本フィランソロピック財団による第1回「東海演奏家の架け橋基金」助成事業
助成:文化庁文化芸術振興費補助金
劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
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