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高校生と創る演劇『わたしの星』鼎談企画
 森元隆樹✕柴 幸男✕藤田恭輔【後編】

記事の掲載日: 2026年10月27日


PLATが開館2年目より継続して実施して12年。「高校生と創る演劇」が間もなく開幕。2026年は愛知県出身で岸田國士戯曲賞作家・柴 幸男の代表作『わたしの星』に挑みます。藤田恭輔による上演台本・演出のもと、高校生たちはキャストとしてもスタッフとしても日々奮闘。そんな最中『わたしの星』2014年初演・2017年再演の制作統括で演劇評論家の森元隆樹さんを迎え、柴、藤田とともにリモートによる鼎談を開催。同作の誕生秘話や現在稽古中の「とよはし版」について語ってもらいました。

前半はこちら


受け継いだ名作は自由度が高過ぎる!?



上栗 今回は柴さんから初演、再演だけでなく台湾版(2018年)、大阪版(2019年)4つの台本をご提供いただき、藤田さんはすべて読んで上演台本を執筆されました。


柴 台本、面白かったです! 自分でも忘れていたようなやり取りが復活していて、恥ずかしさもありつつ「ここを面白いと思ってくれたんだ」という喜びがあったし「ここを今の高校生がやったら面白いかな」と考えてくれたことも嬉しくて。一方、私の台本には全くなかった要素が足されているところ…、特に男子のエピソードにはすごくワクワクしています。


森元 ベースは2014年版と17年版のどっちなんですか?


藤田 やや14年寄りです。17年では結末もちょっと違ったりしていますよね? 同じ作家の再演でこれだけ変わっちゃうんだと驚いて…。再演ってなるべく作者の言葉は変えず、演出でいかに膨らませるかがハードルだと思ってきたけれど、これだけ台本から変えられる余白、良い意味での余白があるから、もうどうしようかと(苦笑)。自由度が高いですね。


森元 キャストには「高校生と創る演劇」の経験者もいらっしゃるんですよね?


藤田 います、います。PLATという空間にもきっと慣れているので、この企画の中での先輩としても頼もしいです。ただ、年によって、演出家も作風もがらっと変わるので、同じ企画ではありながらも、毎度新鮮な気持ちで取り組んでくださっているようでした。


上栗 稽古の進め方も人によって様々ですしね。


藤田 今回は演出チームの目指すところとしては、会話劇的な人と人とのやり取りにちゃんと真実味をもたせていこうと。そこには一貫して時間を割き、一つ一つ確認していこうという意見で一致しています。相手に対してどういう気持ちを抱いているのか、何を思って今そこに立っているのか。なんとなくの演技にはしないで頑張ろうということで、一つずつゆっくり落ちついて進めているところです。高校生も少しずつ慣れてきてだんだん感じをつかめているので、徐々にペースアップしていこうとは考えています。


稽古のようす(撮影:萩原ヤスオ)



上栗 演出助手の坂本沙季さん、百瀬葉さんも多方面で活躍している次世代の担い手なので、その点でもPLATは良いご縁をいただいたと思っています。最後に森元さん、柴さんから藤田さんにエールを送っていただけますか。

森元 高校生と柴さんが創作する様子を見ていた頃、柴さんもいつもと違う興奮や手応えを感じているように映ったんですね。高校生って不可能と思えることも軽々とやってしまいそうなところがある。大人だったら分別してしまうことも、高校生だったら「とりあえず身体を動かしてみました!」みたいなところがあって、周囲の大人もすごく刺激になるんです。藤田さんも今回のこのキャストだから得るものがきっとたくさんあると思います。それは重すぎるぐらいの宝物。その経験を経ると、今まで大人と、あるいは、かるがも団地という劇団の仲間と作っていたものがもっと豊かになるのではと思います。「演劇はもっと自由だ」という感覚が藤田さんの中に宿ると思うんです。高校生を意識するより、新鮮に出会いを楽しんでほしいですね。高校生をなんとか形にしなければとか、観客に対して「このレベルまでは持っていかなければ」とか、結果を考えなくても、気づいたら超えているかもしれない。藤田さん自身が刺激を受けながら日々を過ごしていけば、きっと面白いものができると思いますよ。頑張ってください!

柴 台湾版の制作時、いまの藤田さんのように長期滞在していて、彼らの学校が終わるまで僕はゆったりと準備をして過ごしていたのですが、それがとてもいい時間だったと思い返します。ですから藤田さんもそういう時間を過ごしているならいいなと。創作については「初日は落ち着いて、ゆっくり丁寧にやるよう心がけてください」と高校生に毎回伝えてきました。ゲネプロが良くても本番はお客さんがいるので、焦って早くなることは"あるある"で。だからお芝居が巻かないよう全体をサポートしてあげてください。

藤田 ありがとうございます。力みすぎず、そして本番は落ち着いて…臨んでいきます!(笑)僕からも最後に言わせてください。かるがも団地という見様見真似で演劇を始めた劇団に初めて「公立劇場でやりませんか」と声をかけてくださった、言わば僕たちに公共的な価値を持つチャンスを与えてくださったのが三鷹市芸術文化センターでした。今回久しぶりに、同じく公立劇場であるPLATからお話をいただいたことで、演劇を続けていいんだという自信にもつながっています。どちらも自分のキャリアの中で演劇にトライしていく勇気を授けてくださった仕事だと思っているので、本当に感謝しています。あとは最後までやりきるべく頑張ります!


(2026年9月30日 リモートにて)

左から藤田恭輔、柴幸男(撮影:萩原ヤスオ)

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森元隆樹(もりもと・たかき)

演劇評論家。ライター。1994年、三鷹市スポーツと文化財団(東京都)に就職。演劇企画員として、1995年11月の三鷹市芸術文化センターのオープンから2025年3月まで、今後が期待される若手劇団を招聘する「MITAKA "Next" Selection」企画を始めとする数多くの演劇公演の企画・制作を担当。現在、『ぴあ』アプリ&WEBに「演劇の水先案内人」として「今月のお薦めステージ」を毎月執筆するほか、月刊誌『とぶ!ぴあ』に「私の“イチ”推し」を不定期に執筆中。

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公演情報および柴幸男・藤田恭輔プロフィールはこちら


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